MOTOツーリング誌編集長
神田英俊氏が走る
秘境ルートR252

六十里越雪わり街道~国道252号~

R252神田

 

幽玄の山中を抜ける秘境ルート
豪快なワインディングを堪能しよう!

国道252号線は、新潟県柏崎市より福島県会津若松市に至る、約180kmに及ぶ国道区間だ。
中でも魚沼市と只見町を結ぶ“六十里越”と呼ばれる約40kmの峠区間は、国内屈指の秘境区間。
険しい山岳をトラバースしつつ走る山岳ワインディングと、世界遺産級のブナ林が魅せる美しい光景は、全線が秘境絶景と呼んでも過言でない、ライダー必走の絶景ロードなのである。

R252神田

残雪が美しい浅草岳は初夏の名物だ。
国内屈指の秘境線の一つ、只見線と共に走る田子倉湖畔は、このルート定番の絶景シーン。
深緑~紅葉の時期まで山岳風景を存分に堪能できる。

 

しかも特筆すべきはその道路様相だ。
周辺は国内屈指の山岳地帯にも関わらず、会津方面へ完全2車線で走破可能な極上ルートなのである。
地理的に1.5車線&旧線形の“酷道”も多い地域ながら、日本海と太平洋を全線快走路で繋いでいるのだ。
南側を奥只見経由で南会津と繋ぐ国道352号線とは、全く対照的な良道。そのせいか、このルートは福島・新潟両県のライダーにとって恰好の走り処としても知られており、休日は多数のライダー達で賑わっている。

R252神田

秘境感抜群の険しい山中を貫くルートながら、全線2車線の超爽快ルート。
雪の影響によって舗装の痛みが激しい箇所もある為、十分注意して走行しよう。

 

ルートのハイライトはやはり県境付近の六十里越峠周辺。その名称の由来がまたエキサイティングなのだ。

行程としては24km(6里)程度の山岳ルートだが、余りにも険しい為に1里が10里にも感じる事から“六十里越”と呼ばれるようになったのだと。
確かに、ルート上から広がる展望はまさに秘境地帯。
タイトコーナーの連続するテクニカルな山岳ワインディングは走り応え抜群の良道ながら、周辺は幽玄の山中。徒歩・牛馬の時代を想像すると、先人達の苦労は計り知れないだろう。

R252神田

ピークに設置された六十里越峠開通記念碑より眺める田子倉湖。
バイク数台程度が駐輪可能な小さな展望所?の為、一瞬で通過しがちだが、ルート屈指の展望!必見だ。

 

秘境感満点の風景と、スノーシェッドの連続する異世界感抜群の光景も相まって大自然を全身で満喫できる絶景ロード。
首都圏からだと、東北道でアクセスし関越道で帰ってくる周遊コースも可能な為、自由度の高いツーリングプランを組めるルートとも言えるだろう。
しかし、これほど高規格な山岳ワインディングにもかかわらず、実は冬期は通行止め。ベストシーズンは深緑の夏から紅葉の晩秋にかけてだ。
国内屈指の規模を誇る絶景山岳路を、ぜひ楽しみに行こう!

R252神田

田子倉湖直下には同じくダム湖の只見湖が。
田子倉ダムを眺めつつ走る湖畔ロードは山岳様相とは一変した穏やかな風景が魅力。
休憩・食事は只見町まで皆無の為、タイムスケジュールに注意!

 

R252神田

田子倉ダム方面を振り返ると、見える絶景がこの寝観音。
猿倉山と横山の遠望景色を巨大な観音様に見立てた風景だ。
幽玄の大山地を象徴する、只見湖屈指の絶景だ。

 

星空

人気の無い山地ならではの絶景の一つが満点の星空。
光害の少ない只見ダム界隈では見事な天の川が堪能できる。
都会の喧騒から離れて大自然の夜景を楽しむのもオツだろう。

 

ロードデータ

交通量

地域の根幹を成す生活道路ながら、全体的な交通量は少な目。とは言え、周辺屈指の走り処でもあり、休日はライダーの数も多い。タイトコーナーも多く、走行には十分注意を!

路面

線形改良もされており全線2車線の高規格道路ながら、豪雪地帯の為、初夏は路面の荒れが多少目立つ。小落石は日常的な典型的山岳ワインディングだが、爽快に走行可能だ。

 

転載元URL

引用:BikeLifeLab
https://www.8190.jp/bikelifelab/road100/fukusima/rokujyuurigoe/

 

著者プロフィール

神田英俊氏 執筆・写真:神田英俊

MOTOツーリング誌編集長
内外出版社より偶数隔月で発売中のツーリング専門誌“モトツーリング”の編集長。バイク旅のネタと共に、関連する日本各地の文化を集約したちょっとDEEPなツーリング読本を制作中。知られざる絶景やグルメはもちろん、廃道や道路史・地域の知られざる文化・スポットを発掘しつつ、全国を自ら実地取材!凍結路と未舗装路が大好物。